💼 鹿山圭介「非常識なeBay輸出セミナー」の真実

🌿 あの頃と同じ匂いがした

私は50歳、小規模事業を経営しながら
海外向けECや上場企業の新規事業アドバイザーをしています。

就職氷河期に社会に出て、2度の起業と2度の挫折
そして自己破産まで経験しました。

それでもまた立ち上がり、ようやく生活を安定させた今
改めて「副業」という言葉に世間が沸いているのを感じます。

SNSを見れば、「誰でも月100万円」「スマホで在宅収入」など
聞き慣れたキャッチコピーが溢れています。

その中で最近よく見かけるのが
鹿山圭介氏による『非常識なeBay輸出セミナー』です。

広告の見出しを見た瞬間、私は少し懐かしい感覚を覚えました。

20年前、私が最初に失敗した“情報商材ブーム”の頃と同じ匂いがしたのです。

🌍 eBay輸出とは？表面上の「シンプルさ」に潜む労力

まず、eBay輸出の基本を整理しておきましょう。

eBayとは、アメリカ発の世界最大級のオンラインオークションサイト。

日本の出品者が日本製品を海外の購入者に販売し
円安の今では「副業として魅力的」と注目されています。

海外で特に人気があるのは、以下のような“日本の文化・品質”を象徴する商品です。

• 中古カメラ（Nikon、Canonなど）
• 腕時計（SEIKO、CITIZEN、CASIO）
• フィギュア・アニメグッズ・プラモデル
• 着物や和包丁、鉄瓶などの伝統工芸品
• レトロゲームや音楽機器

確かに、「仕入れて出すだけ」「英語不要」と言われれば簡単そうに見えます。

しかし実際には、商品リサーチ・出品登録・国際発送・関税対応・返品交渉といった
多くの工程を一人でこなさなければなりません。

私のように海外向けECを運営している者からすると
eBay輸出は決して「楽して稼げる副業」ではなく

“小さな商社を一人で回すような仕事”です。

💬 「非常識に稼げる」という言葉の罠

鹿山圭介氏のセミナーでは
「在庫を持たずに」「英語ができなくても」「スマホで完結」
という3つのポイントが繰り返し強調されます。

私もかつて事業で資金繰りに追われたとき
「ラクしてできる」と聞くと心が動いたことがあります。

人は、苦しいときほど“希望の言葉”に弱いものです。

けれど、経験上はっきり言えるのは
“非常識に稼げるビジネス”ほど、非常識なリスクが潜んでいるということ。

鹿山氏のいう「在庫を持たないモデル」は

eBayのルール上では無在庫販売＝グレーゾーンです。

注文後に商品を仕入れる仕組みは、在庫切れや納期遅延のリスクが高く
アカウント停止になるケースも少なくありません。

つまり、初心者が参入すると「売れたのに発送できない」という

最悪のスタートを切る可能性があるのです。

📊 現実の数字を冷静に見てみる

広告では「月収100万円」などの数字が並びますが、現実はどうでしょうか。
eBay輸出の実際の利益構造を、経営者目線で試算してみます。

商品カテゴリ	平均仕入れ	平均販売価格	販売手数料・送料	実際の利益	月100万円達成に必要な販売数
中古カメラ	3万円	5万円	約1.3万円	約7,000円	約140件
フィギュア	1,000円	2,500円	約1,000円	約500円	約2000件
時計	1万円	1.6万円	約3,000円	約3,000円	約330件

現実的に、副業でここまでの販売数を維持するのは不可能に近い。

私がもし自社でこれをやるとしたら、
在庫・人員・システム・物流コストを組んだ“事業規模”になります。

つまり、鹿山氏が語る「スマホでできる副業」は
本来は中小企業レベルの労力を要するビジネスなのです。

⚙️ 「代行」や「自動化」の裏に潜む不透明さ

セミナーの中では
「出品や発送を代行してくれる仕組みがある」とも説明されます。

一見、便利なようですが

私はこうした“代行型ビジネス”に何度も疑問を感じてきました。

• 出品代行会社がどこの法人なのか不明瞭
• 商品クレーム時の責任の所在が曖昧
• 「手数料＋固定費」で利益がほぼ残らない

過去に私が関わった類似の案件では
契約当初は順調でも、半年後には代行側が撤退し
残された会員が在庫と負債だけを抱える結果になったこともあります。

「代行」と聞くと安心感がありますが
実態は自分の責任が曖昧になる危険な構造。

副業としてはリスクが高すぎると感じます。

🧭 eBay輸出を“詐欺”と呼ぶ前に考えるべきこと

正直に言うと、鹿山氏のセミナーを
「完全な詐欺」と断定するのは難しいです。

なぜなら、eBay輸出自体は合法で堅実なビジネスだから。

しかし、「短期間で」「誰でも」「在宅で」など、誤解を招く言葉を多用している点で

情報商材に近い“過剰販売型のビジネスモデル”と言えます。

結局、セミナーで稼げるのは多くの場合　“講師側”です。

私も企業顧問としてマーケティングを支援してきましたが
収益構造を見れば一目瞭然です。

「参加者が稼ぐ」より「販売者が稼ぐ」仕組みになっている。

これを「詐欺的」と感じる人が多いのも、当然のことだと思います。

🧩 私が思う「本当に価値ある副業」とは

私は自己破産を経験し、ゼロからやり直してきました。

その過程で学んだのは

「副業で稼ぐ＝幻想を追うことではない」ということです。

本当に価値のある副業とは
“自分の得意や経験が小さくても活かせる仕事”です。

たとえば

• 地元企業のSNS運用代行
• クラウドソーシングでのリサーチ業務
• 海外への中古商品の少数出品（在庫管理を徹底して）

つまり、「手の届く範囲で」「長く続けられる」こと。
それこそが現実的な再起の一歩です。

🔚 「非常識」に踊らされない生き方を

鹿山圭介氏の「非常識なeBay輸出セミナー」は
多くの人にとって“希望のように見える幻”だと思います。

でも、非常識に見える成功の裏には
必ず常識的な努力と仕組みがあります。

私たちのように一度転んでも立ち上がる人間に必要なのは

派手な方法論ではなく、現実を見据えた再起の知恵です。

💬 私の結論はこうです。
「非常識な稼ぎ方」ではなく、
「常識を積み重ねて非常識なほど安定する生き方」を選ぼう。